心が死んだ日

壮絶な半生

中学2年生の春。

北海道にも心地よい陽射しが降り注ぐ新しい季節が訪れた。

私はテニス部に所属しつつも、小学4年生から習っているピアノの教室に通っていた。

毎週、部活の後にレッスンがあったので終わるのは19時くらい・・だったかな?

当然外は暗くなっている時間。

いつものようにレッスンが終わり歩いて帰宅する途中、お腹が空いていたのでコンビニでスナック菓子を買った。

貪りながら歩いていると通りすがりの高校生に「太るよ〜」と言われた。

(うるさいなぁ。)

 

家に帰る道はふた通りある。

大きめの通りと小学校沿いのそこまで大きくはないけどそこそこ車通りがある住宅街の道。

あの日は後者を選択したのが運の尽き、忘れもしない事件が起こった。

 

いつものようにその道を歩いて家に向かって歩いていたら、

前方から小太りの男が歩いてきた。

(なーんか、嫌な感じ。さっさと帰ろう。)

すれ違ったと思ったのにその男は引き返して話しかけてきた。

 

「中学生?」

「部活帰り?」

無視しようにもしつこくて質問に答えた。

周りに誰も人が歩いてなくて怖かった。

「今から遊びに行かない?」

おばあちゃん家に行くからと嘘をついて断るもしつこく誘いながら付き纏ってくる。

(困ったなぁ。でも、もうすぐで同級生の〇〇の家だから近づいたら走って駆け込んで助けてもらおう。)

そう思いながら歩みを速めた。

(もうちょっと、もうちょっとで助けてもらえるから・・。)

怖くて心臓がバクバクしていた。

 

突然、男が駆け寄って距離を詰めたと思ったら途端に首を締められ動けない状態になり襲われた。

「・・・・たすけて・・・・・・・」

恐怖で大きな声を出すことができなくなって、ようやく絞り出した声は蚊の鳴くような小さな声だった。

けど・・・誰にも聞こえるはずがないよね。

 

 

こんなに家たくさんある住宅街で、どこの家も灯りがついているのに・・・。

外で起こっていることに誰も気づかない。

誰か、私を見つけて・・・。

 

 

男が逃げてから恐怖で体を震わせておぼつかない足取りで家まで帰った。

涙でよく前が見えない。

何が起こったのか理解できない。

家に・・家に帰らなくちゃ。

 

あの日、母は家にいなくて私は自室に篭って泣いた。

記憶があまりないけれど、母と親友に電話した気がする。

なんて話したんだろう。

泣いていたはずだから、上手に喋れていたかも分からないし覚えていない。

 

 

そして、母が帰宅してから状況を説明したのかな?

・・きっとしたのだろう。

家に警察の人がたくさん来て、泣きじゃくる私を事件現場に連れ出し状況の説明をさせた。

調書を取らなくちゃいけないんだって。

混乱した状態で、苦しかった。

何時にどこら辺を歩いててどの位置でその男に話しかけられてどの位置でどうやって襲われたのか。

傷を抉るようにたくさん質問されたけど、頑張って答えた。

襲われてからのことを今はあまり覚えていない。

 

 

ピアノを習っていた私が悪かったの?

あの道を通ったから?

なんで私だったの?

 

 

やり場のない気持ちが洪水のように溢れてきてとにかく泣いた。

私、まだ中学2年生なのに。

男の人と手を繋いだこともなければキスをしたこともなかった。

 

 

たった一人の性犯罪者のせいで、私の心は死んだ。

 

 

春の風が暖かくて心地いい、花々が美しく咲き始めた穏やかな季節の中で

世間は春の訪れに心を躍らせているというのに

私だけ、この世界から色を失ってしまった。

真っ暗な地球の底に落とされちゃったみたい。

 

もう生きていたくない。

 

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半年間声を失った私を支えてくれたもの

橘 しおり

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投資家、YouTuber、司会、コンサルタント 北海道出身

プロフィール

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  1. 心太

    壮絶な経験があるから今の打たれ強さが養われたのですかねぇ。
    動画のコメントに気に入らないものがあってもスルーしたほうが美しいのに。コメントに反論するのはコメントしてくる人同様、人に意見を押し付けてる。

    • 橘 しおり橘 しおり

      10代の頃アンチに叩かれ過ぎて慣れてしまいました。
      全員に好かれるのはまず無理だからしょうがないですよねぇ。
      動画のコメント気に入らないのはスルーしてますよ^ ^